平成2776

川崎市議会議長 石田 康博 

 

麻生区上麻生、荒川建設地下室マンション建設工事の

切土部崩落・土砂流出事故の原因究明と安全対策を求める陳情

 

王禅寺・上麻生の住環境を守る会

【陳情の理由】 

平成25年2月6日、まちづくり委員会において、私たちが提出した「荒川建設「デュ―クガーデン上麻生建築計画」の抜本的変更を求める請願」の審議をいただきました。

(1)同計画は、改正手続きが進行中の斜面地建築物制限条例(いわゆる地下室マンション規制条例)が成立すれば建築できない計画であり(「条例不適格建築物))、条例施行前を狙った駆け込み申請であること、(2)事業者荒川建設工業()は、かつて中田横浜市長をして「モラルのない企業と闘う」と名指しされるなど、住民はおろか行政の指導・要望にも聞き耳持たない特異な企業であることなどから、異例の審議となりました。

全会派あげての厳しい荒川建設批判・非難と、行政に対して何とかして施行前駆け込みを止められないかと迫る意見が相次ぎ、全会一致で趣旨採択されました。

しかし、荒川建設は市議会の意思表示を全く顧みず、直後に開発地尾根部に鉄板のフェンスを構築し、緊急車両やごみ収集車の通行を不可能にするなどの暴挙を重ね、住民説明を一方的に打ち切って、平成25年12月に施行業者・湘南建設工業による造成工事を始めてしまいました。

平成26年6月、大雨があった6日の翌日早朝、切土部が崩壊する事故が起きました。さらに造成工事に続いて行われた建物の根切り工事中、さる4月14日に同じ地層で大規模な崩壊事故が発生し、切土部を覆っていたアンカー付き吹付コンクリートが大きく崩れ落ちました。この時は斜面下の住宅地の道路にも広範囲に土砂が流れ出しました。この土砂流出は以前から対策を要望してきたにもかかわらず排水路や仮調整池などの整備を怠るなど杜撰な安全対策が招いたものです。

このように、切土部の崩壊事故等を連続して起こしている荒川建設の工事に対して住民は大きな不安を感じています。この崩落箇所はマンション(A棟)の基礎となるところであり、さらにもう一棟(B棟)の背面となる所なので、完成後の建物の安全性についても不安があります。

事故発生後、荒川建設工業に対して原因と安全対策について再三説明を求めていますが、今だに実現しないまま建物基礎の工事が行われています。大雨等により根切り部で土砂崩れが起きれば、周辺住宅へも災害が及ぶのではないかとの心配が募る日々です。

現在進行中の工事は、建築工事です。建築工事は、市による開発工事の完了検査を受け、検査済証の交付を受けた後でなければ着手できないというのが法の定めです(都市計画法第36条、37条)。ただし市長が支障がないとと認めたときは、建築制限という原則が解除されることになっています。荒川建設はこの建築制限解除の承認を受けて根切り工事を始めたのですが、市の「建築制限解除の基準」のうち、「予定建築物の壁が土留めを兼ねる場合」に該当するというのがその理由です。将来マンションが完成すれば切土部の土留めの役割を果たすかもしれません。しかし基礎から始まって躯体完成まで7か月、A棟に至っては1年数ヶ月先の事です。その間、垂直な切土を押さえているのは金網とモルタル吹き付け塗装だけです。マンションが建ち上がるまでは「土留め」は存在しない事になり、「建築制限解除」の適用に重大な欠陥があるのではないでしょうか。

荒川建設は、すでに開発地の土地を(株)ジョイントコーポレーションに売却してしまいました。販売が始まる前には事業ごと売却してしまうと思われます。同社は、業界用語で「専有卸」という業態を常としている会社です。売り逃げされた「条例不適格マンション」が、購入者のみならず地域にとっても不良住宅資産化しないか心配です。

 

【陳情項目】

 

1.地質の専門家による事故原因究明

  切土部の同じ地層で連続して崩壊事故が起きるのは、地質上の基本的な原因があると思われます。住民が意見を求めた複数の専門家は、事業者及び行政とは異なる所見を示しています。専門家集団による原因究明を実現するよう議会の協力をお願いします。

2.再発防止対策の指導と安全性の確認

  類似した事故が連続しているのは、再発防止対策が不十分なまま工事が行われているのではないかとの不安があります。市として、原因究明に即した適切な再発防止対策と安全確保につき事業者を厳しく指導するよう、議会のご協力をお願いします。

3.住民に対する説明

  上述の各項目に関し、住民の不安が除去されるまで誠意ある説明会を開催するよう事業者を指導してください。しかし、過去の経緯からすると事業者が指導に従うか疑問です。行政の責任においてこの問題に関する全ての情報を住民に説明する場を持つよう、議会のご協力をお願いします。

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